前立腺肥大症で通院されている患者さんから、
「この薬はずっと飲み続けるのでしょうか?」
という質問を受けることがあります。
前立腺肥大症では薬物療法が有効な患者さんも多く、症状が安定していれば継続して治療することもあります。
しかし、薬を飲んでいるからといって、すべての患者さんで同じように経過するわけではありません。
薬を飲んでいても確認したいこと
前立腺肥大症の経過を見る際には、自覚症状だけでなく、
尿の勢いは低下していないか、残尿が増えていないか、前立腺はどのくらい大きいのか、尿閉を起こしていないか、
といった点も重要です。
症状に慣れてしまい、ご本人は「以前と変わらない」と感じていても、検査をすると排尿状態が悪化していることがあります。
MISTという選択肢
薬物療法で十分な効果が得られない場合には、外科治療を検討します。
現在はHoLEPやCVPなどに加えて、MIST(低侵襲外科治療)という選択肢があります。
代表的なMISTであるPUL(UroLift)では、前立腺組織をインプラントで圧排して尿道を広げます。
WAVE(Rezum)では、水蒸気を利用して肥大した前立腺組織を縮小させます。
「薬が効かなくなってから」考えるだけではありません
前立腺肥大症治療では、薬が完全に効かなくなるまで待ってから手術を考えるという考え方だけではありません。
薬の種類が増えてきた、残尿が増えてきた、尿の勢いが低下してきた、尿閉を起こした、薬を長期間服用することを希望しない、なども治療方法を見直すきっかけになります。
大切なのは、「薬か手術か」を単純に選ぶことではありません。
現在の排尿状態を正しく評価し、薬物療法、MIST、HoLEP、CVPなどの中から、その患者さんに適した治療を考えることです.
文責 日本泌尿器科学会専門医 藤田医科大学腎泌尿器外科客員教授 加藤忍