前立腺肥大症(排尿障害)について
前立腺(ぜんりつせん)とは膀胱に隣接して、尿道を取り巻くような構造をしている男性のみに存在する臓器です。正常な前立腺はクルミの実ほどの大きさで重さにすると20グラムほどです。前立腺が大きくなることにより、排尿にかかわる様々な症状をきたすことを特徴とし、加齢とともに増加する病気で、統計によると55歳以上の5人に1人は前立腺肥大症の症状があると言われています。
Trouble
このような場合はご相談ください
- 旅行(外出)前、就寝前の水分摂取の制限をしている
- 途中(排尿のため)休憩しないと長時間運転できない
- 睡眠が妨げられている
- トイレのない場所に行くと不安がる
- ゴルフのようなアウトドアスポーツができない
- 映画や演劇鑑賞のような社会活動も差し支える
前立腺肥大症の症状をセルフチェック
国際前立腺症状スコア(IPSS)
項目 | スコア | 分類 |
---|---|---|
排尿開始の遅延感 | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿後の残尿感 | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿中断の回数 | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿の緊迫感 | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
尿の勢いが弱い | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
排尿回数の増加 | 0-5 | 0: なし, 1: まれに, 2: 時々, 3: しばしば, 4: ほとんどいつも, 5: 常に |
夜間排尿の回数 | 0-5 | 0: なし, 1: 1回, 2: 2回, 3: 3回, 4: 4回, 5: 5回以上 |
合計スコア | - | 0-7: 軽度, 8-19: 中等度, 20-35: 重度 |
QOL(生活の質)
QOL項目 | スコア | 分類 |
---|---|---|
排尿状態による生活の質 | 0-6 | 0: 非常に満足, 1: 満足, 2: ほぼ満足, 3: どちらでもない, 4: ほぼ不満, 5: 不満, 6: 非常に不満 |
原因
前立腺肥大症の原因は完全に解明はされていませんが、男性ホルモンの変化や生活習慣、食の欧米化により、前立腺の肥大に関与していると言われています。特に最近では肥満、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病も前立腺肥大症のリスク因子として報告されています。
症状
前立腺肥大症になると、尿道の一部が細くなるため排尿に関する様々な症状がおこるようになります。
具体的には、個人差はありますが以下の症状が現れます
・排尿症状
・尿の勢いがなくなり尿の線が細くなる、尿が途切れている
・いきみをかけたりお腹をおしたりしないと尿がでてこない
・尿をしたのに膀胱に尿が残っている感じがする
・蓄尿症状
・夜間に何度もトイレで起きてしまう
・日中のトイレの回数が多い(正常は1日(日中)に5回ほど
・尿が溜まった感じが急にしてきて、尿が溜まると我慢できなくなる
治療方法
前立腺肥大症の治療法は大きく分けて薬物療法と前立腺を取り除く手術療法があります。通常は薬物治療を行いますが、薬物療法で効果が不十分な場合や前立腺があまりにも大きいような方には手術療法を検討します。薬物療法では患者さんの病態、症状にあわせて複数の薬剤を併用して治療を行うこともあります。主に以下のような薬剤を使用します。
薬物療法 ※()内は先発品名を記載
・PDE5阻害薬(血流をよくして前立腺の筋肉をほぐす)
・タダラフィル(ザルティア錠)
・α1ブロッカー(尿道の抵抗をやわらげる)
・シロドシン(ユリーフ錠)
・ナフトピジル(フリバス錠)
・タムスロシン(ハルナール錠)
・5α還元酵素阻害薬(男性ホルモンを抑制し、前立腺を縮小させる)
・デュタステリド(アボルブカプセル)
・生薬製剤(前立腺の腫れやむくみを改善させる)