過活動膀胱(OAB)|かとう腎・泌尿器科クリニック|神奈川県平塚市の泌尿器科

神奈川県平塚市南原2丁目1番2号駐車場32台あり「向原」バス停より徒歩2分

過活動膀胱(OAB) OAB

過活動膀胱(OAB)とは

過活動膀胱過活動膀胱(OAB:Over Active Bladder)とは突然、我慢できないような尿意を感じる症状(尿意切迫感)があり、通常、これに頻尿や夜間頻尿を伴い、急な尿意でトイレまで間に合わずに尿を漏らしてしまう症状(切迫性尿失禁)を伴うこともあれば伴わないこともある状態で、排尿に関わる症状が現れる病気です。現代では40歳以上の8人に1人が過活動膀胱であると言われています。

Trouble

このような場合はご相談ください

  • 排尿に関して何かしらの悩みのある方
  • 突然トイレに行きたくなるような症状のある方
  • 昼間のトイレの回数、夜間のトイレの回数で悩んでいる方
  • 急激な尿意に襲われ、我慢できずに漏らしてしまう方

過活動膀胱(OAB)の症状をセルフチェック

過活動膀胱症状スコア(OABSS)

症状スコア頻度
朝起きた時から寝るまでに、何回くらい尿をしましたか0-20:7回以下,1:8~14回,2:15回以上
夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか0-30:0回,1:1回,2:2回,3:3回以上
急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか0-50:なし,1:週に1回より少ない,2:週に1回以上,3:1日1回くらい,4:1日2~4回,5:1日5回以上
急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらすことがありましたか0-50:なし,1:週に1回より少ない,2:週に1回以上,3:1日1回くらい,4:1日2~4回,5:1日5回以上
合計スコア-軽症:5点以下,中等症 :6~11点,重症:12点以上

原因

①神経因性過活動膀胱

通常、人が排尿する際には多くの神経や筋肉が連動することで成り立っています。脳出血や脳梗塞などの脳血管障害やパーキンソン病などの神経変性疾患によって神経や筋肉のどこか一部に異常が生じると、排尿のトラブルが起きます。

②非神経因性過活動膀胱

加齢や血流障害、骨盤底筋の脆弱化(恥骨、尾骨および坐骨の間に位置する筋肉の総称)などが原因とされています。上記以外にも男性の膀胱に隣接する前立腺という臓器が肥大し尿道を狭くすることで排尿を邪魔する病気(前立腺肥大症)や女性の子宮や直腸が加齢に伴って尿道を狭くすることなどによっても起こります。
※子宮脱:支給が本来の位置よりも下がり、子宮の一部または全部が膣の外に出てしまう状態
※直腸脱:直腸が肛門の外に出てしまい、デキモノとして認識できるようになる状態

症状

過活動膀胱になると、排尿に関する様々な症状がおこるようになります。
具体的には、個人差はありますが以下の症状が現れます
・突然トイレに行きたくなるような症状(尿意切迫感)
・夜中に1回以上トイレに起きる(夜間頻尿)
・日中8回以上トイレに行く(昼間頻尿)
・トイレまで我慢できずに漏らしてしまう(切迫性尿失禁)

治療方法

当院ではOABSSというチェックシートを記入して頂き、過活動膀胱が疑われる場合には超音波検査によって膀胱内の残尿の測定や前立腺肥大の可能性の把握を行い患者さんの状態、症状に合わせて治療を行います。過活動膀胱の治療は原則として薬物療法です。主に以下のような薬剤を使用します。
薬物療法※()内は先発品名を記載
・抗コリン薬(膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑えてあげる)
・ソリフェナシン(ベシケア錠)
・イミダフェナジン(ウリトス錠:ステーブラ錠)
・フェソテロジン(トビエース錠)
・β3作動薬(膀胱を広げてあげる)
・ミラベクロン(ベタニス錠)
・ビベクロン(ベオーバ錠)

<前立腺肥大症が原因疾患として考えられる場合(男性のみ)>
・PDE5阻害剤
・タダラフィル(ザルティア錠)
・α1ブロッカー
・シロドシン(ユリーフ錠)
・ナフトピジル(フリバス錠)
・タムスロシン(ハルナール錠)

<薬物療法で効果不十分の場合>
・ボツリヌス毒素膀胱壁内注入
・A型ボツリヌス毒素注用50単位、100単位

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法:過活動膀胱効の薬物治療効果が不十分の方

ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(A型ボツリヌス毒素)とはA型ボツリヌス毒素を膀胱内壁注射することで筋弛緩作用を示し、過活動膀胱による種々の症状を改善する治療法です。通常、過活動膀胱は薬物療法(抗コリン薬、β3作動薬)で治療を行いますが、薬物療法で効果不十分の場合や、口渇、便秘などの副作用から治療を継続できないような方に用いられます。ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は2000年に初めて海外で報告され、有効性、安全性の面からも欧米を中心に普及している治療法で世界でも90か国以上で認可されています。この治療法はA型ボツリヌス毒素を膀胱壁内に注入することで、筋肉を緩める作用を示し、過活動膀胱による様々な症状を改善させます。日本では2020年に過活動膀胱へ保険適応となった治療法ですが、日本でもすでにまぶたや顔面の痙攣、腋窩多汗症、美容整形など様々な疾患にも使われています。

こんな場合はご相談ください

以前まで過活動膀胱は薬物療法などで治療を行われていましたが、2020年になって初めて注射剤のボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が保険適応になりました。過活動膀胱で悩まれていた方の福音にもなり得る治療法ですので、以下のような悩みのある方は一度、当院へご相談ください。
・排尿に関して何かしらの悩みのある方
・薬物療法(抗コリン薬、β3作動薬)で効果不十分の方

治療方法

麻酔下において膀胱鏡というカメラを用いて膀胱の筋肉に直接ボツリヌス毒素を注射する治療です。外来でも治療可能な治療であり、膀胱の筋肉にボツリヌス毒素100~200単位を20~30か所に分けて注入します。治療効果は通常2日後以降であらわれ、4~8カ月にわたって持続します。治療効果に関しては個人差があり、効果が無くなってきたら改めて治療が必要な対症療法です。(薬物療法も同様に対症療法となります。)