難治性過活動膀胱に対する
A型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法について

天然のたんぱく質から精製された薬を
膀胱内に直接注射する方法です
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作る天然のたんぱく質(A型ボツリヌス毒素)から精製された薬を膀胱内に直接注射する治療法です。膀胱鏡という内視鏡を用い、膀胱の筋肉に直接お薬を注射して、膀胱の異常な収縮を抑えます。外来でも治療可能です。適応は行動療法、飲み薬や貼り薬で効果が不十分な患者さんに対し、検討される治療法です。
一次治療である行動療法および各種抗コリン薬(経口薬、貼付薬)やβ3作動薬を含む薬物療法を単独、または併用療法として、少なくとも12週間の継続治療を行っても効果がない過活動膀胱および神経因性膀胱が適応になります。膀胱拡大術など、既存の手術に比べて侵襲性が低く、外来で実施可能です。
A型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の効果
効果は通常、治療後2~3日で現れ、過活動膀胱では4~8ヵ月、神経因性膀胱では8~11ヵ月にわたって持続します(効果の程度や持続期間には個人差があります)。効果がなくなってきたら、改めて治療が必要となる対症療法です。
A型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の
作用・治療法
ボツリヌス療法は、膀胱の筋肉を緩め、異常な収縮を抑える作用があります。治療には膀胱鏡を使用し、異常な収縮が生じている膀胱の筋肉に、20~30ヶ所、直接薬を注射します。注射は10分~20分ほどで終了します。また外来でも治療が可能です。注射による痛みを緩和するために局所麻酔を使用し、痛みを感じる場合は笑気麻酔を追加しますので、痛みの少ない手術が当院では可能です。
治療の流れ
- 1 手術前
- 外来にて、血液検査、心電図などの事前検査を実施します。
- 2 手術前日
- 特に食事も飲水も制限はありません。
- 3 手術当日
- 膀胱内に痛み止めの麻酔を入れながら手術を行います。標準的には膀胱内に20ヶ所薬を注入します。穿刺注入する時間は10~15分程です。術後は、血尿の程度を確認し帰宅します。
- 4 手術後
- 翌日当院に来院していただき、血尿の状況を確認するために尿検査を行います。次回は薬の効果が出やすい10日後に来院し、残尿を調べます。
よくあるご質問
費用はどのくらいかかりますか?
A
健康保険適応で、1回費用は、1割負担のかたで18,000円、3割負担のかたで50,000円です。 効果には個人差がありますが、おおよそ4~8ヵ月の効果期間が期待でき、年1~2回膀胱内に注射することで、お薬を飲まなくても症状が改善します。
膀胱にボツリヌスを注射するとどんな効果がありますか?
A
ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素(ボトックス®)を膀胱壁に直接注射することで膀胱の筋肉を弛緩(緩める)させる働きがあります。 過活動膀胱では無抑制性収縮(我慢が効かずに膀胱の筋肉が収縮する)によって頻尿や切迫性尿失禁が起こるため、膀胱を弛緩させることで症状を緩和させます。
注射の効果はいつから出ますか?
A
施術後2~3日で効果が現れはじめ、約1~2週間かけて徐々に安定してきます。 およそ4~8ヵ月効果が続くと言われております。
過活動膀胱のA型ボツリヌス毒素注射の副作用は?
A
A型ボツリヌス毒素療法は日帰りで受けられます。 副作用として、残尿量の増加、尿閉、尿路感染症がおこることがあります。 1回のA型ボツリヌス毒素療法には効果の持続期間があり、約8ヵ月とされています。それ以降経過すると効果が弱まっていきますので、1年に2回程度のA型ボツリヌス毒素注射を行うと効果が維持されることになります。
費用
料金表
1割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|
A型ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法 | 18,000円 | 50,000円 |
※表示金額は全て税込みです。
お支払い方法
お支払い方法は、
下記に対応しております。
高額療養費制度について
高額療養費制度は、医療費が高額になった場合に、その一部を健康保険がカバーすることで、患者さんの負担を軽減する制度です。具体的には、自己負担限度額を超えた分の医療費が返還される仕組みとなっており、重篤な病気や手術を受ける際の経済的な支援を受けることができます。ただし、限度額認定証を提出する必要があります。所得に応じて、1ヵ月間の支払金額が調整されます。
高額療養費制度を受ける流れ
医療機関での支払い:まずは通常通り、医療機関で医療費を支払います。
申請書類の提出:自己負担限度額を超えた医療費について、必要な申請書類を健康保険組合に提出します。健康保険高額療養費支給申請書という書類を提出します。
払い戻し:申請が認められれば、超過分の医療費が払い戻されます。